ヘラクレスオキシデンタリスの飼い方

【ヘラクレス・オキシデンタリスの飼育について】

ヘラクレス・オキシデンタリスを飼うのは、温度管理さえできれば非常に簡単で誰でも飼えます。
但し、逆に言うと温度管理できない場合は、飼育できないので注意が必要です。
飼育可能温度帯は、20℃〜28℃の間と思われますが、25℃前後がベストと思います。
一時的になら下は18℃、上は30℃位までは生存可能であると思われます。
つまり、日本の四季において、春・秋は温度管理なしで飼育可能な期間が存在しますが、
温度管理が必要となるのは夏と冬です。
温度管理の方法はいろいろ有り、エアコン管理が最も手間いらずですが、費用が高くつきます。
私もいろいろ温度管理の方法を考えましたが、
結局のところ費用が安くつく温冷庫を利用することにしました。

【ヘラクレス・オキシデンタリスのライフサイクル】

2005/08産卵→2005/10孵化→2005/12 3令→2006/10蛹化→2006/12羽化→2007/4後食開始→2007/12☆
上記の飼育に基づいたデータによると、卵期間が約1ケ月半から2ケ月、幼虫期間が約1年2ケ月、
蛹期間が約2ケ月、羽化から後食開始まで約3ケ月、成虫期間が約1年となりました。
かぶと虫の成長期間は飼育温度に左右されるとのことで、
高めの温度で飼育すると期間が短く小型化する傾向にあり、
低めの温度で飼育すると期間が長く大型化する傾向にあるとのことです。
私は卵の間は温度管理していませんでしたが、丁度、秋だったので問題なかったようです。
孵化から羽化まではエアコン管理でほとんど25℃をキープしている状況で幼虫期間が
約1年2ケ月でした。ヘラクレスの幼虫期間は1年半から2年と聞いていたので、
まだまだと思っていたら蛹化したのでびっくりしました。
もう少し低温でもよかったのかも...。

【用意するもの】

※基本的に国産かぶと虫と同じですが、高価なので☆にしてしまった時の精神的ダメージを考えると後悔しないよう、できる限りそろえた方が良いと思います。

☆☆☆☆ [絶対必要] 飼育ケース
☆☆☆☆
 [絶対必要] エサのゼリー ※成虫のみ必要。65gサイズのゼリーがお勧めです。
☆☆☆☆
 [絶対必要] 霧吹き
☆☆☆ 
 [ぜひ用意したい] かぶと虫用マット 
       ※累代飼育する場合は必須。 ※成虫飼育時は水苔(ミズゴケ)を使用する場合も。
       ※クワガタ用マットは発酵した回数が違い、かぶとの幼虫のエサにならないので
       使用しないこと。
☆☆☆ 
 [ぜひ用意したい] エサ皿
☆☆☆ 
 [ぜひ用意したい] のぼり木 または 転倒防止材
☆☆   
 [有った方が良い] コバエ防止シート

★飼育道具の紹介はこちら

【用意するものの説明】

飼育ケース
成虫飼育
オス成虫は基本的に単独飼育となりますので適当な大きさのプラケースを使用 します。
2頭のオスを同じケースに入れると必ずケンカをして片方が殺される可能性が非 常に高いので絶対やめましょう。
国産かぶと虫だと寿命が縮む程度で済みますが、ヘラク レスをはじめ外産かぶと虫で特に大型のものは、
どちらかが死ぬまで争うことが多いので 注意して下さい。(片方がばらばらにされます)
メスを殺す可能性も高いので交尾させる時以外は同じケースに入れない事。
交尾もハンドペアリングで見ている前で行わせて、済ん だらすぐに別々のケースに移す事。
大ケース以上を用意すること、できれば特大ケース。

幼虫飼育
プラケースでも飼育可能ですが、出来ればQBOX(飼育道具紹介参照)のような
ある程度密閉度の高いケースの方が飼い易いと思います。
ヘラクレスは横に蛹室を作るのでオスならQBOX40サイズに単独飼育が最適のようです。
これより小さいケースだとオ スの場合、角曲がり等、蛹化不全になる可能性が高くなります。
メスは角が無いのでワンランク小さいケースでもだいじょうぶのようです。
一説によると幼虫がケースの大きさで自分の最大サイズを調整してしまうとも言われていますので、
大きなオスの作出を目指すなら、できるだけ大きなケースに単独飼育が良いようです。
QBOXだと密閉度は高いですが空気穴を開けなくても窒息することはなく、
コバエ防止シートを利用しなくても湿度を保つことができ、ほとんど加水の必要がありませんので、
ほとんどケースに入れて放っておくだけで飼育できます。
(但し、たまには見てあげて水分が無くなってきたら加水してあげて下さい)
プラケースで飼育する場合は成虫と同じく大ケースかできれば特大ケースに1頭ずつ単独飼育するのが理想的です。
大きくしたい場合は単独飼育が基本で、大きいケースでも複数を飼育すると大きくならないようです。
プラケースは上部が網になっていて密閉度が低いのでコバエ防止シートや新聞紙やビニールなどを
フタとケースの間に挟んで密閉度を高め湿度を保つ必要があります。(ビニールを挟む場合は空気穴が必要です)

エサのゼリー
通常ホームセンターなどでは、コーヒーフレッシュによく似た形の、16gのゼリーを売っていますが、
ヘラクレスは角が邪魔になって食べれないので不向きです。
お勧めは65gのゼリーです。これなら大きい(直径73mm)ので長い角が邪魔にならず食べれますし大食漢の
ヘラクレスでもたいてい数日は持ちます。(1日でたいらげるときもありますが...)

霧吹き
百円ショップでいろいろ売っていますので気に入ったものを買いましょう。
水分は生き物 には欠かせません。マットが乾燥しないように管理しましょう。
ゼリーにも水分がありま すが、これだけでは確実に死にますので注意して下さい。

かぶと虫用マット
成虫の飼育で産卵させない場合

お勧めは植物栽培用で百円ショップで売っている水苔。
まず成虫が土まみれになって汚れない(もちろん周りも汚れない)し、符節欠けが起きに くいので
☆になったら標本にしたいと思っている人には特にお勧めです。
但し、絶対に符 節が取れないということではありません。
ミズ苔は水分をよく吸収するので、マット飼育と比べて符節が取れにくいということです。
その次は白いマット。黒いマットよりかなり 安く産卵させないのならこれで十分です。

成虫飼育で産卵させたい場合
できるだけ粒子の細かい黒っぽいマットをたくさんケース に入れ、
固く詰めたマットの深さが15cm以上になるようにし、その上に適度に詰めたマットを5cm位入れます。
この上にエサ皿等の飼育に必要な物を乗せてメスを投入します。オスを入れるのは交尾の時だけにしましょう。
メスはマットの中に潜って底の固い部分に円形の卵より少し大きい部屋の中に1つずつ丁寧に卵を産みます。
交尾確認後、メスがマットに潜りっ放しになったら産卵している可能性が高いと思います。
採卵する場合は、2〜3週間経ってから新聞紙などの上にケースごとマットを出来るだけそうっと、
ひっくり返し卵をつぶさないように、プラスチックのスプーンで少しずつマットを崩して卵を探します。
この時、マットが黒っぽい色だと卵が真っ白なので見つけ易いです。
一度、白っぽいマットで採卵したことがありますが、これはわかりにくいので白いマットは使用しない方がいいです。
初めて卵を見つけたときは感動ものです。
採卵せずにそのままそっとしておいて孵化してから回収する方法もあります。
卵の状態でへたに採卵するより孵化率が良くなるとも考えられますが、
ずっと同じケースを使用するとメスが卵をつぶしてしまう可能性があるので、
複数のケースを使用するなどの工夫が必要かもしれません。
どっちもどっちかなと思いますが、私は採卵が楽しいので、採卵派です。

幼虫飼育のとき
マットは幼虫のエサなのでとても重要です。初令のときは特に粒子の細 かい黒っぽいマットを使用します。
幼虫が小さいので粗いマットを使用するとマットを食 べにくい為、成長しにくくなります。
とにかく、大きなかぶと虫にしようと思うのなら、幼虫時代(3令中期まで)に良質のマットを食べさせて、
どれだけ大きな幼虫に育てられるかにかかっています。
(ちなみにかぶと虫は成虫になってからは大きくなりません)
糞が多くなってきたら新しいマットに交換して、絶対にエサ不足を起さないように注意しましょう。
糞だらけになっているのにマット交換しない、栄養価の低い粗悪なマットを使用したりすると、
びっくりするようなチビカブトが誕生することになります。
マットによってダニが発生しないものと、しやすいものがあります。
また、最初から適度 の湿り気があってそのまま使用できるものと、
全く乾燥していて水と混ぜないと使用でき ないものとがあります。
前者の方が水と混ぜる手間が無いので使い勝手がいいです。
近所に売っているもので、良いものを探されると良いと思います。

エサ皿
かぶと虫の生命維持には直接関係無いようですが、ぜひそろえたいアイテムです。
ゼリーをのせる穴を開けている円形の木です。普通ホームセンターなどに売っているのは
16gゼ リー用がほとんどですが、ヘラクレスには65g用がお勧めです。
65g用はあまり売っているのを見かけないので貴重です。
昆虫専門店やインターネット通販で入手可能と思います。
転倒防止材としての役割も果たします。

のぼり木
または 転倒防止材 エサ皿だけでも転倒防止材になりますが、ケースの大きさからして、
エサ皿だけでは、何も無いスペースができてしまうので、
かぶと虫がひっくり返った際に起き上がれず、もが き続けて体力を消耗し寿命を縮めたり、
死亡したりするので丸い木や木の枝、葉っぱなど を入れてあげましょう。
転倒防止とともに、ひっくり返って起き上がる際につかまるとこ ろが必要なのです。

コバエ防止シート
これも飼育状況によりますが、マットを糞取りして長く使い続けたり、
ゼリー等のエサが散乱していたりするとコバエが発生する場合があります。
これを防ぐ為に、プラケースとフタの間にコバエ防止シートという紙をはさんで使用します。
私の飼育歴の中ではコバエがあまり発生したことが無いので、
もっぱらプラケース内の湿度を保つ為に使用しています。
これをはさんでおくと湿気が逃げないので、しょっちゅう霧吹き等で加水する手間が省けます。

【飼育方法】

成虫
大プラケースか特大プラケースに(網状のフタが付いた昆虫用のものが売っています)
マットを15〜20cm位入れる。
(産卵させない場合でも昼間はマットに潜って休むのである程度深く入れてあげたほうが長生きします)
産卵させたい場合は、下部15cm程度を出 来る限り固く詰めて、
その上に5cm程度マットを適度の固さで乗せて、メス1頭を入れます。
ヘラクレスはだいじょうぶな場合もありますが、メス殺しやメスいじめをする可能性があるので、
交尾のとき以外は別々に飼育します。交尾もできるだけハンドペアリングを 心がけ、
一緒にしているときは目を離さないようにした方が良いと思います。
オス同士も1つのケースに入れると殺し合いになる可能性があるので、
別にしておく必要 があるようです。エサは専用のゼリー65gを与えていれば手間がかからず飼育できます。
熟れたバナナもエサとして良いようですが、面倒なので私は使ったことはありません。
後は 毎日1回、マットに霧吹きで加水するだけです。夏は気温が高いせいでゼリーも傷みやすいので、
残っていても3日に1回は交換が必要ではないかと思います。
毎日霧吹きするのが面倒な方は(私はこれが楽しみでしたが...)、
コバエ防止シートをフタとケースの間にはさむと良いです。
シートが水分の蒸発を防ぎマットの乾燥を防止してくれるので、数日おきの霧吹きで済むようになります。

幼虫
幼虫はただケースの中に水分を含んだマットを多めに入れて、その中に入れておくだけです。
後は水分が無くならないように霧吹きでマットを加水することと、
糞が多くなって きたらマット交換をすること位で、それ以外は放っておくと勝手に大きくなります。
[幼虫飼育のコツ]
お勧めのケースは密閉度の高いQBOXのような入れ物でQBOX-40位 のサイズにオスの場合、
幼虫を1頭位入れて飼うのが適当と思います。
(メスなら2頭OK) QBOXは密閉度が高いので、湿気が逃げることがなく、
マットに加水する手間を大幅に省けます。プラケースは、フタの網が粗く密閉度が低いので、
そのままだとすぐにマットが乾燥するので毎日加水する必要があります。
そこでプラケースの場合はフタとケースとの間にコバエ防止シートを挟んでフタをすることにより
密閉度を上げて保湿すると良いです。コバエ防止シートの替わりに新聞紙やビニールでもOKのようです。
但し、ビニールには空気穴を開ける必要があります。少し贅沢ですが。
マットは糞だらけになる前に早め早めに交換した方が、エサ切れが無く幼虫が大きくなりますし、
コバエの発生を防ぎ衛生的でもあります。
よく、かぶと虫飼育情報をHPで見ているとコバエが大量発生したという話が書かれていますが、
私の場合、コバエの発生はほとんど経験ありません。これは使用するマットの質にもよりますし、
古いマットを糞取りをして何回も使用しているとコバエが発生しやすくなるようです。

【飼育に関する注意点】

飼育温度
成虫・幼虫とも25℃が適温と思います。1年を通じて一定の温度に保つのが理想的と思いますが、
下は20℃、上は28℃の間の季節(春と秋)なら常温でも飼育可能です。
先にも書きましたが、数時間程度なら下は18℃、上は30℃位までは生存可能であると思われます。
直射日光は厳禁です。

水分
マットに湿り気がなくならないように、霧吹きをして水分を欠かさないようにしましょう。
マットは少し湿り気がある程度で良い。軽くにぎって団子がくずれない程度と言われており、
びちゃびちゃにするのは良くありません。特に水分が多過ぎると符節欠けの原因となるとも言われています。

エサ
エサ切れすると死んでしまうので、切らさないように注意しましょう。