かぶと虫飼育関連 用語解説
孵 化(ふか)
卵から幼虫になることです。 幼虫は卵の殻を最初に食べるといいます。 小さな幼虫にはきめの細かいマットが食べやすくて良いようです。 飼育マットへ
加 齢(かれい)
普通に言うと年を取ることですが、かぶと虫の幼虫の場合は、1令幼虫から2令幼虫、2令幼虫から3令幼虫と成長して行くことを言います。
また加齢の際には脱皮します。脱皮というのは皮を脱ぐことですが、つまり1令から2令または2令から3令幼虫に加齢する際に脱皮してグンと大きくなります。
加齢したばかりのときは頭だけ大きくなり体はあまり大きくありませんが、その後頭の大きさに見合うように体もグンと大きくなります。
カブトムシやクワガタは幼虫の3令後期以降、蛹や成虫になってからは大きくならないので、この時期に栄養価の高いマットをたくさん食べさせると大きな成虫となります。
かぶと虫の場合は、孵化直後が初令または1令幼虫、次に2令、幼虫時代の最後に3令となり、次に前蛹、蛹、成虫と変態して行きます。
幼虫の成熟(ようちゅうのせいじゅく)
成熟ということは成虫においても言いますが、幼虫においても言います。幼虫における成熟とは、3令後期から前蛹になるまでを言い、 3令幼虫が成熟してくると幼虫の成長(体重増加など)が止まり、体色の黄色みが濃くなり、体の節と節がよりはっきりとしてきます。
前 蛹(ぜんよう)
呼んで字のごとく、蛹の前と書いて前蛹です。蛹になる直前の幼虫の状態を言います。
前蛹になると幼虫の体はしわしわになり、動作も体を伸ばしたり丸まったりしか出来なくなります。(既に蛹の動きです)
6本の足も動かなくなり、体色も相対的に黄ばんだ色になります。ようするに体をひねったりマット内を移動したり出来なくなります。
この状態になると間もなく蛹になります。(前蛹の状態で過ごす期間は種類によって異なります)
蛹 室(ようしつ)
蛹室とは文字通り、蛹(さなぎ)の部屋であり、幼虫が前蛹となる前に自分が蛹になるために作成する部屋です。
国産かぶと虫は縦に部屋を作成し蛹室の内部で直立した状態で蛹化します。
外国産かぶと虫は私の知る限りではたいがい横向きに部屋を作成し、仰向けの状態で蛹化します。
蛹室の内部はすべすべつるつるの状態できれいな壁面となっており、蛹室はマットを固めて作成されるので結構固く出来ています。
飼育している場合、マットを慎重に掘り返して行くと固く盛り上がった箇所に行き着くと、それが蛹室です。
丈夫ではありますが、人の力でスプーンなどで無理に掘ると壊れてしまうので注意が必要です。
もし誤って破壊してしまった場合、以下の3種類の対応が考えられます。
1.幼虫が前蛹になっていない場合→そのままそっとしておくと再度蛹室を作成してくれるので蛹室作成を確認し今度こそ壊さないようにしましょう。
2.幼虫が前蛹になってしまっている場合→前蛹になったら見かけは幼虫の姿をしていても、動作は蛹に近く、既に幼虫の動作は出来ないため放っておいたのでは
蛹室を作成できず、蛹化時に蛹化不全になる可能性が非常に高くなります。そこで人口蛹室を作成してあげる必要があります。
人口蛹室の作成方法は別途ご紹介しますが、たいしてむずかしいものではないので安心して下さい。
蛹 化(ようか)
幼虫(前蛹の状態)から蛹になること。蛹化の時間は種類によっても異なると思いますが、1時間程度のようです。私はまだ一度も 蛹化しているところを観察できたことはありません。経験から言うと早朝から朝の早いうちか、夕方から夜にかけて蛹化するケースが 多いように思います。だいたい翌日に蛹化するだろうな、など前蛹の様子から蛹化が間もないことはわかるのですが、じっと張り込んでいる のが面倒なためいまだに蛹化シーンを直接見たことはありません。蛹化が間近いことは、体色が黄みを帯びているのですが、大変濃くなって くる、しわしわが顕著になってくる、などでわかります。だいたいですが、蛹化するときはまず幼虫の頭から背中が割れて順にお尻のほうに幼虫時代の 皮を脱いで行き、透き通るように白い蛹の形が現れ、皮を脱ぎ終わると角に体液を送り伸ばしていくというような順番になると思います。 どのような種類のかぶと虫やくわがた虫でも、最初は透き通るような白色から徐々に黄色みを帯びて色付き、オレンジ色から最終的には 薄めの赤茶色になります。但し羽化が近くなるとこげ茶色または黒色に近くなります。
羽 化(うか)
蛹から成虫になる事。羽化直前なると蛹の色はこげ茶色または黒色に近くなり、蛹の体にしわが出てきます。こうなると羽化も 間近となります。羽化したての成虫は前羽以外は既に黒くなっていますが、前羽は最初は白く徐々に黄色みを帯て、オレンジ色から 最終的に黒っぽくなります。(国産の黒かぶと虫、ヘラクレスオオカブト、グラントシロカブト、ヒルスシロカブトなど) 羽化も蛹化同様、私の観察では朝と夕方から夜にかけてが多いと思います。
後 食(ごしょく、であってると思います)
私は最初この言葉が最もわかりにくかったのですが、かぶと虫やくわがた虫というのは、羽化してすぐにエサを食べません。 私も最初の頃はすぐに食べると思っていたのですが、国産かぶと虫で1週間程度、ヘラクレスなど長いものだと2〜3ケ月もの間 エサを全く食べないので、初めての人は不安になると思いますが、逆に早くエサを与えすぎると死亡する場合があるので注意が 必要のようです。ただ、後食開始がいつかわからないので、もうそろそろかなという時期にきたら少し早めにゼリーを入れて おいてあげた方がよいようです。エサ切れで☆になっては可愛そうなので。。。
成虫の成熟(せいちゅうのせいじゅく)
成虫となったかぶと虫が、生殖能力を持つことを言います。後食開始後すぐに交尾可能な種もいますが、たいていは成熟するまでに 後食開始後さらに期間が必要です。人間でも一定の年齢にならないと子供が作れないのと同じと考えればわかりやすいと思います。
交 尾(こうび)
オスとメスが生殖行為をすることです。一緒に飼育するとメス殺しが発生する種ではハンドペアリングによって交尾させます。
メス殺し(めすごろし)
オスのかぶと虫やくわがた虫が、メスをはさんで殺してしまうことです。メス殺しをする種では、メスをばらばらにしてしまう 場合もあるようですので注意が必要です。 国産かぶと虫は一緒に飼育してもこのようなことはしません。私の経験上ではグラントシロカブトの場合は一度メスを目の前で はさんだことがありました。グラントシロカブトは小型種なので殺すところまで行ったかどうかわかりませんが、ミシッと音が したので、びっくりしてすぐに止めたので大事には至りませんでした。但し、一緒に飼育していたらメスがオスを恐れてマット にもぐりっぱなしでエサを食べれずに死んでしまったような気がします。ヒルスシロカブトは一緒に飼育しましたが、このような ことは無く心配ないようでした。ヘラクレスオキシデンタリスも初代は100mmと小さかったせいか一緒に飼育していましたが問題 ありませんでした。但し、ヘラクレスも大きなものになると危ないかもしれません。コーカサスは凶暴でメス殺しをすると聞いて います。くわがた虫のほうがメス殺しをする種は多いようです。
ハンドペアリング
メス殺しをする種は一緒に飼えないので、産卵させたい場合はハンドペアリングにて交尾させます。また一緒に飼育しているのに 産卵しない(つまり交尾していない可能性がある)場合は、ハンドペアリングにより交尾させます。やり方は、エサを食べている メスの上にそっとオスを乗せるだけです。オスが凶暴な種では、危ないと思ったらすぐに離れさせる必要があります。 また交尾終了後はすぐに離れさせる必要があります。
累代飼育
成虫→卵→幼虫→成虫とかぶと虫を代々飼育すること。はじまりは成虫でも幼虫でも特に決まりは無い。
温度管理
外国産かぶと虫を飼育するには、ほとんどの種で温度管理が必要となります。日本の気候では夏と冬が問題となり、夏は暑過ぎる 為、飼育場所の温度を下げる必要があり、冬は寒過ぎる為、飼育場所の温度を上げる必要があります。このように温度をコントロール することを温度管理と言います。外国産かぶと虫は種類にもよりますが、上は27〜28℃、下は18〜20℃までに保たないと死んで しまう場合が多いようです。
ドルクス属
ドルクスという言葉を聞きますが、いったい何のことを言っているのか? クワガタならクワガタって言った方が わかりやすのになどと思っていましたが、ドルクス属(Dorcus)と言って主にオオクワガタやヒラタクワガタの仲間の ことを言うようです。オオクワガタは国産にくわえてグランディスオオクワガタ、ホペイオオクワガタ、シェンクリングオオクワガタ、 アンタエウスオオクワガタ、パリーオオクワガタなどが有名どころで性格は温和で丈夫で飼いやすい種のようです。 ヒラタクワガタは国産ヒラタにくわえてアルキデスヒラタクワガタ、パラワンヒラタクワガタ、スマトラヒラタクワガタ、 ダイオウヒラタクワガタなどが有名どころで、性格は気性が荒く攻撃的で比較的飼い易い種のようです。 ドルクス属は世界に130種類が広く分布しており、分布していない大陸は南アメリカと南極だけということで、 特にアジアが分布の中心地となっているということです。 ノコギリクワガタやフタマタクワガタ、ミヤマクワガタ、ホソアカクワガタなどは別の種となります。
飼育マット
マットというのは、自然界で言うと「土」とカブトムシの栄養となる「朽木や枯葉や木の根」などが混ざったものと考えて下さい。
一般的には「腐葉土」として園芸用に販売されています。
しかし、カブトムシを大きく育てる為には自然界と全く同じとは言えない腐葉土では、少し栄養不足気味となり、飼育環境では実際あまり大きくなりません。
そこで人工的に作り出されたのが「発酵マット」です。小麦粉やフスマなどを「くぬぎ」「コナラ」「針葉樹」等の木を粉砕したものと混ぜて発酵させて作ったものです。
こちらは栄養価が高く、時には自然界で育ったカブトムシより大きくなるケースもあります。
カブトムシとクワガタムシでは栄養を吸収する腸の働きが違うので基本的に各々の専用マットを使用します。
マットは幼虫にとって、食べ物そのものであり生活環境でもありますのですごく重要ですが、成虫にとってはあまり重要なものではありません。
成虫もマットがあれば日中は潜って休んだりする場所にはなりますが、高価なマットを使用しなくても安価で清潔な「抗菌ふかふかマット」や「みず苔」などで充分だと思います。
幼虫飼育用のマットを購入される場合は、カブト用またはクワガタ用と書かれていて、説明書きに'幼虫飼育に最適'とか'幼虫飼育用'などと書かれた、マットの色の黒い、粒子の細かいものを選ぶと間違いないと思います。
基本的にカブトムシとクワガタムシの飼育用マットとしては以下のように大別できます。
■カブトムシ&クワガタムシ変態時期別
1.カブトムシの初令幼虫用の飼育マット
2.カブトムシの初令後期〜2令以降の幼虫用飼育マット
3.カブトムシの成虫用の飼育マット
A.クワガタムシの初令幼虫用の飼育マット
B.クワガタムシの初令後期〜2令以降の幼虫用飼育マット
C.クワガタムシの成虫用の飼育マット
■各々の解説
1.カブトムシの初令幼虫用の飼育マット
カブトムシの初令幼虫(国産で孵化後1週間位、外国産だと2〜3週間位まで)には、食べやすい微粒子の完熟発酵マットを使用します。
未発酵マットや1次発酵マットでは栄養が吸収できず死亡してしまいますので注意して下さい。
2次発酵マットでも発酵度合いの高いカブト用として販売されているものもありますが、完熟マットを使用するほうが良いと思います。
2.カブトムシの初令後期〜2令以降の幼虫用飼育マット
初令前期の幼虫ほど粒が細かくなくても良いですが、カブトムシなら黒い色の完熟マットを使用する方が良いと思います。
3.カブトムシの成虫用の飼育マット
安価な「抗菌ふかふかマット」や「みず苔」がお勧めです。マットを使用するならマットの中では安価な、「未発酵マット」や「1次発酵マット」で充分です。
A.クワガタムシの初令幼虫用の飼育マット
クワガタは微粒子の2次発酵マットで良いと思います。種類によって菌糸マットの方が大きく早く成長しますが効果が高いだけに高価です。m(_ _)m
B.クワガタムシの初令後期〜2令以降の幼虫用飼育マット
同上です。
C.クワガタムシの成虫用の飼育マット
クワガタのオスは、マット使用なら安価な未発酵マットか1次発酵マット、お勧めはマットより安価で衛生的で符節欠けのおこりにくい「抗菌ふかふかマット」や「みず苔」です。
メスは、産卵させない場合はオスと同様ですが、一緒にするとメス殺しに合うので別々に飼育して下さい。産卵させる場合は比較的安価な1次発酵マットに産卵木埋めて使用します。
もちろん事前に交尾(ペアリング)しておく必要があります。
●マットの種類別
1.未発酵マット
2.1次発酵マット
3.2次発酵マット
4.3次発酵マットまたは完熟マット
5.広葉樹マット
6.針葉樹マット
7.腐葉土
■各々の解説
1.未発酵マット
木の色をしています。木を粉砕しただけのものと、添加物と混ぜたものもあります。
2.1次発酵マット
薄い茶色です。成虫飼育や産卵用に使用します。埋め込みマットなどとして販売されています。
3.2次発酵マット
濃い茶色か黒っぽい色をしています。クワガタ幼虫用ですが、発酵度合いが高いものや、一度クワガタ飼育で使用したものは、カブト用として使用可能です。
4.3次発酵マットまたは完熟マット
黒っぽい色をしています。名前の通り発酵度合いは最も高く、カブトマットとして販売されています。カブト幼虫飼育に適しています。
5.広葉樹マット
カブト幼虫を飼育する場合は広葉樹(クヌギやコナラの木)を使用して作成した完熟マットが適しています。
6.針葉樹マット
一部のクワガタ幼虫飼育に適したマットです。
7.腐葉土
園芸用に販売されて発酵マットより安価ですが、栄養価が低く幼虫が比較的大きくなりません。また園芸用の為、殺虫剤等の薬品を混ぜている場合があるので注意が必要です。
産卵木
産卵木はクワガタに卵を産ませるときに使用し単に材とも言います。だいたい直径10cm〜13cm位(種に合わせて適当なものを選択します)で長さはプラケースに入る長さのものを使用します。 小さくて繁殖力の強いクコワなどは細くて短い産卵木でも産卵する場合もありますが、40mmを超える大きなオオクワガタの♀などはそこそこ大きな材でないと産まない場合もあります。 一般的には4時間くらい水に浸けて柔らかくし木の皮を剥いてマットの上に置くか適当なだけマットに埋めて使用します。クワガタの種類によって堅めの材に好んで産むものと 柔らかめの材に好んで産むものとがありますので水に浸ける時間で堅さを調節します。また水から出してある程度乾かしてから使用するなどバリエーションは色々でクワガタの好みに合わせます。 産卵木の種類はコナラ、クヌギが主となりますがレイシ材等も販売されていますのでこれもクワガタに合わせてより産卵に適したものを選びます。
産卵セット
カブトやクワガタに産卵させるためのセットです。
材産みのクワガタ場合の大きさに適したサイズのプラケースを使用(大・中・小)し、だいたいケースの底に高さの4分の1から3分の1くらいマットを固く詰めます。
そして水に数時間浸けた産卵木の皮を剥いて(どれだけ剥くかは種類により異なります)固く詰めたマットの上に置きます。そして置いた産卵木の周辺にマットを入れて
軽く詰めます。このとき産卵木をどの位埋めるのかも種類によって異なります。固く詰めたマットの上に産卵木を転がしておくだけという場合もあります。
マット産みのクワガタの場合は産卵木はなくても産みますが有った方が産卵が促進される場合もあるようです。またアルキデスヒラタ等、材とマット両方に産む種類もいます。
カブトの場合はマットにしか産みませんのでケースの底から半分位までマットを固く詰めてその上に3分の2位まで軽く詰めたマットを乗せるだけです。
クワガタもカブトも種類によってマットの種類も合ったものを選びますが、だいたい微粒子発酵マットでいける場合が多いです。微粒子発酵マットで産まない種類には
無添加マットや黒土マットなども使用する場合があります。
割り出し
採卵とも言いますが、産卵木に産む種類の場合の採卵を割り出しといいます。産卵木をマイナスドライバーと金槌などで割って幼虫や卵を取り出すので一般的に割り出しと言います。
持ち腹
WILDまたは天然物と言いますがいわゆる自然の中で産まれ育ったカブクワは採集した時点でほとんどが交尾済みです。この事を持ち腹といいます。要はお腹に有精卵を持っている という意味ですね。なので持ち腹の♀は♂とペアリングさせなくても産卵させることが可能です。
メイトガード
カブクワの♀は産卵時まで交尾で得た♂の精子を受精に使わないので、後から別の♂が交尾すると前の♂の精子が破棄される場合が有る。なので交尾した♂は♀が他の♂に 交尾されないよう寄り添って護る行動を取る。これをメイトガードといいペアリングが成立したかどうかの判断材料となる。